有限会社の破産手続き
2006年の法改正によって、有限会社は新たに設立できなくなりました。
現在存在する有限会社は、法改正前に作られ、そのまま存続している会社です。
有限会社は株式公開ができず、資本金が最低300万円必要なものの、取締役の任期がない・決算を公告する義務がない・代表取締役の任命が義務ではない(最低1人の取締役が必要)という点で、家族経営または小規模な事業の法人化に向いていました。
もっとも、会社である以上は、資金繰りができなくなると倒産することになります。
以下、有限会社の破産手続について説明していきます。
1 有限会社の経営が厳しい場合に可能な法的倒産方法
有限会社が採れる倒産の方法は法人破産か民事再生です。
⑴ 法人破産
清算型の倒産であり、一般的な倒産のイメージに最も近いものかもしれません。
法人破産は、会社の財産をすべて換金して債権者への弁済に充当し、会社の法人格を消滅させます。
弁済できなかった債務は法人の消滅とともになくなりますが、事業主が会社の保証などをしている場合は、会社の残債務や滞納した税金などの支払義務が事業主へ引き継がれます。
⑵ 民事再生
裁判所に再生手続開始を申し立てて、債務の減額をしたうえで再生計画に基づいた返済を行っていきます。
法人破産と違い、会社が存続する(再建型の倒産)ため、事業の継続が可能です。
しかし、これができるのは減額した債務を返済できる見通しがあると裁判所が認められた場合に限られます。
また、手続きの要所で債権者の同意が必要になります。
減額の対象となるのは担保のない債務のみなので、整理できる債務が限られていることにも注意が必要です。
2 有限会社の破産の流れ
有限会社の破産手続は、株式会社の場合と大きな違いはありません。
一般的な流れを解説していきます。
⑴ 法人破産の準備
まずは弁護士に相談して、何をすべきか検討をしましょう。
作成する書類や収集すべき資料は、個別のケースによって異なります。
また、会社内部や取引先等に対して行うべきこともありますので、弁護士と一緒に破産申立てまでの計画を立てます。
⑵ 裁判所に申立て
必要な書類や資料を用意したら、裁判所に法人破産の申立てを行います。
弁護士に依頼した場合、手続きは弁護士が代理人として遂行します。
申立て段階では、通常は有限会社の代表などが裁判所へ行く必要はありません。
自己破産(個人破産)には簡易な手続きである「同時廃止」というものがありますが、法人破産は必ず「管財事件」という、破産本来の手続きが行われます。
管財事件では財産を処分してお金に換える必要がありますが、この手続きによらずに独断で財産を処分してしまうと、破産手続きにおいて問題になる可能性があります。
⑶ 破産審尋
申立て後、裁判官と破産申立人が面談する「破産審尋」が実施されます。
これには破産申立人である法人の代表者が直接参加しなければなりません。
裁判所によっては申立人の弁護士・裁判官・後述する破産管財人の候補者が面談を行うこともあります。
運用方法が裁判所ごとに違うため、申立ての段階で予め弁護士に確認しましょう。
⑷ 破産手続開始決定
提出された書類や資料、破産審尋の内容を審査して、裁判官が破産手続きを開始するか否かを決定します。
⑸ 破産管財人の選任
破産手続開始決定と同時に、裁判所が「破産管財人」を選任します。
破産管財人は破産手続きを実務的な部分を担い、会社の財産や負債の状況等を調査し、財産を処分してお金に換え、債権者へ分配(配当)します。
破産申立人は破産管財人に協力する義務があるので、会社の帳簿を含めた財産、負債、その他資料などをすべて引き渡さなければいけません。
また、隠れている債務がないか調査するために、会社宛の郵便物がすべて管財人の事務所に届くよう変更されます。
⑹ 管財人の調査と換価処分
管財人は会社の資産や負債の状況を調査し、お金に換えられるものを売却していきます。
また、会社に不正行為がないかという点についても調査も行います。
何度か面談が行われることもあります。
面談に応じないと手続きの進行に支障がありますし、最悪の場合には調査に協力しなかったとして罰を受ける可能性もあるので、必ず応じるようにしましょう。
⑺ 債権者集会
管財人の調査や換価処分と並行して、裁判所で「債権者集会」が開かれます。
主に管財人による報告が行われ、調査や換価処分の状況などが説明されます。
出席するのは裁判官・管財人・破産申立人・破産申立人の弁護士の4者であることが多く、小規模な会社の場合、債権者が出席しないこともあります。
中小の有限会社の場合、特段問題なければ、債権者集会は数十分程度で終わります。
債権者集会は複数回実施されることもあります。
⑻ 配当
換価処分で得た現金を、管財人が各債権者に配当します。
法律に規定された優先順位に基づいて配当されるので、破産申立人がすることは特にありません。
⑼ 破産手続の廃止と法人の消滅
配当が終わると破産手続きが廃止(終了)されます。
3 有限会社の破産に必要な費用
⑴ 一般的な金額
裁判所に納める申立手数料、官報公告費、予納郵券代が数万円程度、少額管財の管財人報酬が20万円程度必要となります。
⑵ 特定管財の管財手続費用
債権者が多い、負債総額が高額などの事情によっては、管財人の負担が増えるため「特定管財」という扱いになります。
特定管財では管財手続費用は数十万円~数百万円になります。
⑶ 弁護士費用
会社の規模など、事案によってある程度異なりますが、一般的には50万円以上となります。
4 有限会社の破産も弁護士へ相談を
有限会社を倒産させる際には、法人破産か民事再生のいずれかを選択する必要があり、資金繰りの状況によっては法人破産しか選択できない場合もあります。
その法人破産にも多くの注意点があるので、検討する場合はぜひ弁護士にご相談ください。
当法人には、会社破産を含む債務整理を得意とする弁護士が複数在籍しておりますので、ぜひお早めに当法人へご相談ください。